2023.10.11
こんにちは。lien PRのannaです。今回は、クリエイティブ・エージェンシー「ZIZO」の代表仲島さん、ディレクター山中さん、アートディレクター田島さんと、lien北村でお話した内容をお届けします。
ZIZOさんは今年6月にコーポレートサイトをリニューアルし、lienはサイト内で使用される写真の制作を担当しました。プロジェクトの始まりからリリースまでを振り返ります。
Profile:
仲島 宗徳 ZIZO|CEO
2010年にリクルートグループで同僚だった川口氏とワインバーで意気投合し、ワインのWebサービスを作る会社としてZIZOを設立。その後、開発資金を賄うために行なっていた制作業が忙しくなりピボット。現在は約50名の仲間と共にワクワクするクリエイティブを生み出し続けている。
山中 克毅 ZIZO|Director
1989年大阪生まれ。大阪在住。福祉・医療機器メーカーでWeb担当、制作会社でWebデザイナーを経験し、ZIZOにはディレクターとして入社。現在はWebサイトやアプリなどのUX/UI、情報設計を担当している。
田島 諭 ZIZO|Art Director
1990年富山県生まれ。大阪在住。東京・大阪の制作プロダクションやデザインスタジオを経てZIZOへ。グラフィック〜Webまでビジュアルコミュニケーション全般のデザインに関わる。
北村 渉 lien|Photographer / Producer
1995年大阪生まれ。東京在住(2019/6~)。2015年近畿大学を中退し写真を独学で学び始める。現在は東京を中心に国内外の企業、Webコンテンツ撮影、プロモーション撮影等で活動中。ライフスタイルを軸としたドキュメンタリータッチな撮影を得意としている。
ZIZOらしい、他社とは違うメインビジュアルを作るために
――まずはじめに、ZIZOさんはどんな会社か教えてください。
仲島:ZIZOは、私と共同代表の川口が2010年に大阪で創立しました。私と川口は、元々リクルートの制作グループで一緒に働いていました。ZIZOの創業期は企画やディレクションを中心に取り組んでいたのですが、自分たちでシステム開発やデザインもできたらもっと色々なことができると思い、今では一通りの制作ができるようなエージェンシーに成長しました。現在は50人ほどのスタッフがいて、そのうち40人が大阪に、残りの10人は東京と名古屋にいます。
ZIZOは、「ワクワクすることをひとつでも多く!!」をビジョンとして掲げています。世の中に1つでも多くワクワクを作りたい、 そして自分たちもワクワクしながら仕事がしたいという思いがあります。
そのために、私たちは自由な働き方をしています。1日の働く時間も自由ですし、出社するのもリモートするのも自由です。
仕事も自分たちで選べます。やりたいことをやっている時が一番パフォーマンスが出ると思うので、私たちが得意な仕事を選び、それぞれのメンバーが最大限に能力を発揮できるように心がけています。
――lienを知ったきっかけと、多くのフォトグラファーの中でなぜlienを選んでいただいたのかを教えてください。
田島:プロジェクトが始まる前に、Twitterで徳田さん(UNDERLINEのWebデザイナー。前回の記事参照)が制作されたNAVYのWebサイトを見かけました。そのサイトで使われている写真がすごく良くて、それ以来lienさんのことはブックマークしていましたね。
ZIZOのリブランディングプロジェクトが決まってから、フォトグラファーの選定を進める中で仲島と候補を出し合っていて、その中には著名なフォトグラファーも含まれていましたが、私からlienさんも候補に出しました。
最終的にlienさんを選んだ決め手はいくつかあります。今回色々な撮影シチュエーションを想定していて必要なカット数が多かったので撮影ディレクションが大変そうだと感じていたのですが、lienさんのWebサイトを見ていたらディレクションから積極的に関わりたいと書いてあり、lienさんなら臨機応変に対応してくれそうだと感じました。
仲島:Webサイトのメインビジュアルは、他社と差別化を図りたいと考えていました。多くの同業他社は実績をメインに出していることが多かったので、私たちはZIZOらしさを出そうと考えました。ただ、真面目に仕事をしているところを見せるだけでは面白くない。何か変わった印象を持たせられるようなビジュアルがいいなと思っていました。
lienさんと話してみて、一緒に何かを作り上げてくれそうな印象を持ちました。著名なフォトグラファーだと、期間的な制約もありますしこだわりが強くアートな表現に寄りすぎてしまうこともあるかと思い、lienさんならクオリティは担保しつつ私たちの思い描いている方向に柔軟に対応してくれそうだと思いました。
「面白い」と「真面目」の間を目指す
――ZIZOのWebサイトリニューアルの背景や課題、コンセプトについてお聞かせください。
山中:ZIZOのイメージを一新し、リブランディングを図ることを主眼に置いてプロジェクトを進めてきました。ZIZOは今まで、「大阪のおもしろ企画が得意なWeb制作会社」という印象を持たれていましたが、そこから新たに「日本のクリエイティブ・エージェンシー」と認識されることを目指しました。
グローバルも意識していて、実際今も海外のクライアントからも仕事を受けているのですが、日本の企業にもZIZOは海外に強いということを認識していただきたい、今後もっとグローバルに展開していくという印象も持たせたいというのもありました。
メインビジュアルに関して言うと、少し変なポイントを入れたり、面白い、ワクワクさせるような表現をしたいと考えていました。
田島:面白いと言っても、ただふざければ良いわけではなく、真面目な面と遊び心のある面との絶妙な間を狙いたいというのがありました。そのニュアンスをオンラインの打ち合わせですり合わせていくのが大変で、社内でも最初はみんな思っていることが違っていることもあったので、その認識を合わせていくのに時間がかかりました。でもその作業はすごく重要だったなと思っています。
北村:毎週打ち合わせをして、準備に3ヶ月くらいかけてましたね。
仲島:(写真を指しながら)これとか、ふざけてやってるのか、真面目にやったらこうなったのかっていうか、絶妙なところなんですよね。全部そうなんですよ。これとかもまあ、一見真面目に見えるんですけど。
――どうやって社内やlienとの認識を揃えていったのでしょうか。
山中:社内では、ブレストやワークショップを何度か行い、認識を合わせていきました。
lienさんとは、社内でまとめた資料を共有して、オンラインでも何度か話していました。最終的には東京で対面での中間報告会を行い、そこで初めて全員が顔を合わせ、詳細を詰めていきました。実際は、報告会の後の飲み会でZIZOの雰囲気がより伝わったと思います(笑)。
――lien側から見て、初めてZIZOのプロジェクト詳細を聞いたときの感想は何でしたか?
北村:コーポレートサイトの撮影と聞いていたので、最初は、一般的なオフィス風景や、打ち合わせしている様子などを撮るものだと思っていました。でも具体的にお話を聞いてみると想定とは全然違ったんですが、ディレクションから入れて一緒に考え作っていけるという、逆に私たちがやりたかったことでした。
撮影チームとしての「lien」が期待以上だった
――今回のプロジェクトにおける、ZIZOとlienさんの役割分担について教えてください。
山中:ZIZOからは、撮影の要件にあたる各シーンの前提や意図をlienさんに伝えていました。出演する社員についてはZIZOの方がよくわかっているので、「この人はこういう風に撮ってほしい」など社員のキャラクターに合った見せ方についても細かい調整をお願いをしました。
北村:lienとしては、撮影全般の他、ヘアメイク、スタイリスト(美術、服)も合わせて担当しました。出演者は全員ZIZOさんの社員だったんですが、1人のモデルさんを撮るのとは違ってそれぞれ出演される人数分のスタイリングなどの準備がなかなか大変でした。具体的なシーンや表現のラフ案も私たちが描き、それを基に現場で微調整しながら撮影を進めました。
――今回のプロジェクトにおける、lienに対する期待と結果に対する評価、感想はどのようなものだったのでしょうか?
田島:私がlienさんに期待していたのは、まず第一に写真のクオリティです。先程お伝えした「NAVY」の写真を事前に見ていたので期待していました。また、撮影のシチュエーションが多かったので不安もありましたが、lienさんなら無事やり遂げてくれるだろうと信じていました。
全て終わってみて、lienさん以外では無理だったなと思います。特に最初に撮影した前川がアイスコーヒーを飲んでいるカットは、私たちが表現したかった「真面目かふざけてるのかわからない」雰囲気を上手く捉えています。コップの持ち方一つとってもlienさんと一緒に議論し合いこだわりました。一発目から良い写真が撮れたので撮影中も期待が膨らみました。
山中:私はフォトグラファー選びに参加していなく自分がlienさんを指定したわけではなかったので、具体的なイメージがあったわけではなくどうなるんだろう?という思いでした。しかし、結果としてlienさんのチームとZIZOの全員が同じ判断基準を持って、一つの作品を作っていけていると実感できました。撮影チーム全体がすごくよかったです。
仲島:撮影チームに関して言うと、僕は全く想像していなかったところで期待以上の結果を出してくれたと思います。lienのチームは普段から一緒に動いている人たち同士で、仲が良く認識も合っていてコミュニケーションのハードルも全くなかったので、一緒に仕事がしやすかったです。それぞれが自分の役割を理解し、今から何を作るかということもわかっていて、お互いをサポートし合っていました。飲みながら色々話せたのもよかったです。
たまに現場で初めて顔を合わせる撮影チームもあって、そのチーム内でギクシャクして上手くいかないということもあるんですが、今回はそういうことは全くなかったですね。
北村:嬉しいです。僕もそこはとても大事だと思っているところで。僕たちの仕事って内容がイレギュラーになりがちだし、時間の制約がある撮影現場で対応するメンバーが毎回バラバラだと余計なコミュニケーションコストがかかってきて本来のパフォーマンスを発揮できないこともあるので、なるべく普段からコミュニケーションをとっており仕事に置ける価値観が近いメンバーで臨むことで各クリエイターが撮影に集中できる環境作りを意識しています。
――北村さんから見た、今回のプロジェクトについての感想を教えてください。
北村:今回はZIZOさんの自社プロジェクトだったので、ZIZOさんと一緒に自由に取り組むことができました。このような規模のプロジェクトはlienとしてもこれまでに経験したことがなく、とても勉強になりました。
lienでも最良のチームを組むことができたのもよかったです。大阪を拠点に活躍している力武や、僕の師匠のNandinさんにも参加していただくことができました。
納品した写真を実際にWebサイトでデザインされて使われているのを見た時、写真だけで見るのとでは印象が大きく変わりました。良い感じに仕上げていただいてとても嬉しいです。
クライアントと共にチームで楽しめる仕事を作っていきたい
――ZIZOの皆さんが、仕事のパートナーを選ぶ際に大事にしていることや求めることは何でしょうか。
仲島:私が最も大事にしているのはコミュニケーションですね。話が通じるかどうかが大事です。素晴らしい作品を作れる人でも、コミュニケーションが取れない人は難しいと感じます。一緒に作品を作っていくというスタンスを持ってくれているかどうかも大事だと考えています。
田島:私もスタンスを重視します。自分の意見を積極的に言ってくれる人や、新しい提案をしてくれる人が好ましいですね。北村さんはその点とても信頼できましたし、撮影自体もテンション高く楽しみながら取り組むことができました。
山中:私も意見を言ってくれる人はありがたいなと思います。さらに意見を言うだけではなく調整してくれる人だとなお嬉しいですね。お互いの意見交換を通じてより良い結果に繋がるものだと思っています。
――クリエイティブ業界に対して課題に感じていること、物申したいこと、今後こうなったらいいのになと思うことは何でしょうか?
仲島:今回は自社のプロジェクトだったので予算や期間に柔軟性がありました。しかし、普段のクライアントワークではお金や時間などの制限が多く、クライアントとの感覚の違いなども起こることがあります。世の中全体に、良いものを作るためにはお金と時間が必要であること、そしてそれが良いものかどうかを判断するリテラシーが必要だという理解が深まっていくと良いなと思います。
山中:今回のプロジェクトがとても楽しかったので、普段自分が担当するクライアントワークでも楽しみながら取り組めているか改めて考えさせられました。今回のようなクライアントも自分たちも楽しいと感じられるプロジェクトを増やしていきたいです。
田島:このプロジェクトでは、全員が同じ方向を向いて取り組むことができたと感じています。業界全体では発注者と受注者の関係になりがちなところを、クライアントを含めてみんなで一緒にものづくりをしているような関係性を構築していきたいと思います。
ZIZO: https://www.zizo.ne.jp
Writing: Anna Ishihara
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