2023.5.15

インタビュー Blog

写真が生み出すWebサイトの力とその制作プロセス(対談記事:UNDERLINE徳田 × lien北村)


はじめまして。lien PRのannaです。
今回は、lienがよく一緒に仕事をしているWeb制作チーム「UNDERLINE」の徳田さんとlien代表の北村に、お二人の出会いから仕事のスタンス・進め方などについてお話を伺ってみました。

Profile:
徳田 優一 UNDERLINE|Web Designer
1981年長崎生まれ。大阪のWeb制作会社で勤務後、2012年よりフリーランスのWebデザイナーへ。サイトを作る上で「会社や人の持つ魅力や佇まいをサイトを通じて伝えること」を大切にしている。

北村 渉 lien|Photographer / Producer
1995年大阪生まれ。東京在住(2019/6~)。2015年近畿大学を中退し写真を独学で学び始める。現在は東京を中心に国内外の企業、webコンテンツ撮影、プロモーション撮影等で活動中。ライフスタイルを軸としたドキュメンタリータッチな撮影を得意としている。

「北村さんと一緒に仕事をしてみたい」Instagramの繋がりからパートナーへ

――お二人の出会いについて教えてください。

徳田:北村さんとの出会いは2015年頃で、最初はInstagramでした。僕も写真を撮るのでInstagramに自分の写真を投稿していて、お互いの投稿を見たりやりとりする中で親しくなりました。僕はWebデザイナーとして活動していたのでいつか一緒に仕事ができたらいいなと思っていて、ちょうど2年前に初めて一緒に仕事をする機会がありました。ニューロン・エイジさんというゲーム制作会社のサイト制作を依頼されて、撮影に関しては北村さんにお願いし、プロジェクトとして一緒に取り組むことになりました。

北村:徳田さんと出会った当時、僕は大学を中退してフリーターになり、これからどうしようかと考えていた時でした。僕も当時は大阪に住んでいたのですが、初めて会ったのは共通の知り合いを交えた飲み会でしたね。

――一緒に仕事をしてみようと思ったのはなぜでしょうか。

徳田:当時、北村さんはまだチーム「lien」としてではなく個人で活動していましたが、本人が写真を仕事にすることに対して悩んでいることを知り、何か力になれないかと思ったんですよね。彼の撮っていた写真をInstagramなどで見て、クオリティが高いことはもちろん写真に対して誠実に取り組んでいることも伝わってきました。北村さんの得意なことや好きな傾向に合う仕事が一緒にできたらいいなと思っていました。
北村さんの良いところは、写真を撮るだけではなく人と人を繋げながら仕事をしていく姿勢です。間近で見ていてすごいなと思うし、僕はこのスタンスに共感しています。自分一人で完結するのではなく他の人たちと繋がりフォローしながら進める仕事のやり方は、自分にとっても勉強になっています。

北村:そう言っていただけて嬉しいです。徳田さんがいなかったら今の自分はないので、僕やlienにとって徳田さんはとても大事な存在です。

徳田:ニューロン・エイジさんのサイトリリース後にlienのサイトも作らせてもらったんですが、その実績をきっかけに他のクライアントからの問い合わせが増えました。例えば、アパレル向けにニットのコンサルを行うNAVYさんや早川総合法律事務所さんからの依頼も、lienのサイトの雰囲気を気に入っていただけたことがきっかけになっています。
クライアントはlienが撮影を担当した写真にも大変満足してくれています。lienのサイトは新たな仕事に繋がるきっかけの一つだと思います。

北村:僕もlienのサイトはとても気に入っています。

(lien)
(NAVY)
(早川総合法律事務所)

Webデザイナーとlienが組んだ時の役割分担は?

――お二人はどのように協力し合って仕事を進めているのでしょうか。

徳田:基本的には私がクライアントからWeb制作の依頼を受けて撮影が必要になった時に北村さんに依頼をしています。要件については詳細にお伝えするのですが、出来上がりのイメージについては余白を持たせて伝え、現場の状況に合わせて柔軟に撮ってもらえることを優先しています。制作会社で働いていた時は、一つのサイトを作るのに撮影を行うことが少なく、クライアントから支給されるものやストックフォトで購入したものを使うことが多かったように思います。フリーランスになってからは予算の都合もあり自身で撮影していましたが、北村さんやlienのメンバーに依頼することで自分ではできなかったことができるようになりました。現場での撮影の段取りは私より経験が豊富な北村さんに頼っています。

北村:基本的には徳田さんから概要を教えていただき、フォトグラファーやヘアメイク、スタイリストなどをアサインして進めていきます。徳田さんとの仕事ではかなり自由にやらせてもらっていて、余白がたくさんある中で撮れるのは面白いですしありがたいですね。僕は実際に撮影するものが要件を押さえていればラフ通りである必要はないと思っています。Webデザインの中で写真がどのような役割を果たすかを考えながら現場で動いています。現場の進行は時間や天候、モデルさんやフォトグラファーの動きに左右されることが多いので、要件と条件のバランスは大事ですね。
徳田さんとは写真を撮ってビジュアルを決めてからWebデザインを進めるというやり方をしていて、これは一般的なWebデザインの進め方とは異なるのかなと思います。

徳田:できるだけ写真などのイメージを基にデザインを組み立てるという作り方をしたいんです。


良いものを作るために、設定されていたゴールをより高くすることも

―― 広告代理店や制作会社、多くのフォトグラファーなどと比べてお二人が異なる点はどんなところなのでしょう。

北村:企業やブランドが直接フォトグラファーに写真を依頼するというのは、建築で言うと家を作りたい人が直接大工さんに頼むようなものかなと思うんです。でも実際はそういう訳にはいかず、家を建てる時は建築家が間に入りますよね。建築家はクリエイティブの世界で言うとプロデューサーやディレクターにあたるポジションですが、現状として広告以外の領域における写真の仕事ではそのポジションは不在であることも多く、重要視されていない印象です。しかし良いものづくりのためには”建築家”は欠かせないので、僕たちは単なる撮影や編集だけでなくプロデューサーやディレクターとしての役割から入り込み、制作に取り組んでいます。

徳田:制作会社から直接フォトグラファーに依頼することもあると思うのですが、制作会社側から事前に決まった要件を伝えその通りに撮るという状況も多いかと思います。僕は事前にフォトグラファーの意見が入ることでビジュアルのクオリティは上がると思っているので、北村さんのように撮影前に要件について議論に入ってくれたり提案をしてくれたりする存在はとてもありがたいです。
例えば現在進行しているアパレルブランドの立ち上げに関して、北村さんはクライアントと直接話す場を作ってほしいと提案してくれました。そういう積極的な姿勢は助かりますし、実際にクライアントと僕だけではなくlienに入ってもらうことで議論に幅が生まれ撮影のプロジェクトを大きく前に進めることができました。

北村:どれだけ良いものにできるかということに重きを置いているので、クライアントと直接話した方が良いなと思っています。徳田さんを信用していないわけではなくて、徳田さんはWebのプロであり、僕は写真のプロなので、それぞれの視点が入った方が良いと思っています。もちろんコミュニケーションも費用面も直接フォトグラファーに依頼するよりコストはかかるんですけど、限られた条件の中でより良いものを作るという意味では大切な過程だと思っています。

―― クライアントが当初描いていた要件やゴールが変わっていくことはあるでしょうか?

徳田:あると思います。例えば前述のアパレルブランドの場合、クライアントは撮影の経験があり現場のことにも詳しかったのですが、北村さんのアイデアや解釈を提案したことで撮影についてより具体的にイメージできるようになりました。その結果もう一歩進んだ発想が生まれ曖昧だった部分にも踏み込むことができ、要件やゴールへの解像度が上がってより良い方向に進められています。

北村:予算や時間の制限がある中で最大限のクオリティを出したいので、クライアントや徳田さんと話しながらゴールをどれだけ上に設定できるかを探っています。

写真を起点にしたWeb制作を増やしていきたい

―― UNDERLINEとlienのビジョンや今後取り組んでみたいことを教えてください。

徳田: ビジョンと言えるような大きいものはないですが、UNDERLINEのサイトに掲載している「つくるものを通して人と人がつながり新しい価値が生まれ、気持ちや想いが届く。」ということを制作の上で大切にしています。それを実現するためにデザインで使用するビジュアル素材はとても大切なので、今後も撮影には力を入れていきたいです。
今後の取り組みについては、これまでと同様に小規模なプロジェクトを中心にチームで動く中規模サイト制作もできるようになりたいと思っています。撮影もそうですが人と一緒にものを作っていくのはとても楽しいので。

北村: lienとしては、写真がきっかけでサイトに訪れてもらったり、サイトに載っている人や商品に関心を持ってもらえるようなものを作ることが理想です。そういう流れが増えると、写真を起点にWeb制作の依頼に繋がるということも増えるんじゃないかなと思います。今まではまずサイトを作ると決まってから写真を撮るという流れが多かったのですが。
徳田さんからは僕たちがやりたかったようなプロジェクトをいつも提供してもらっているので、その逆も実現していって徳田さんに還元したいなと思います。

徳田 優一Twitter / Web
北村 渉Twitter / Instagram

Photo: Takuya Rikitake
Writing: Anna Ishihara

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